2009年9月13日子宝カウンセラーの会
平成21年9月13日、新大阪にて、第9回の「子宝カウンセラーの会」が開催されました。
第一部 漢方で防ぐ新型インフルエンザ
医学博士 邵輝
現在、WHOの発表で世界の新型インフルエンザ感染者数は、3205人にのぼっています。また、北海道や大阪で、基礎疾患のない若い男女の死亡例も確認されています。ロンドン大学の発表では、季節性インフルエンザよりも新型インフルエンザの死亡率は高いとのことです。
1970年代に香港カゼというインフルエンザが流行した際、3年間流行が続きました。1年目は9月から流行が始まり、一〇月、一一月、一二月の3ヶ月で8万人の死者が出ました。だから、新型インフルエンザも同じような流行になるのではないかとウイルス学者は警告しています。私が、このように新型ウイルスについてお話するのは、わたしが大阪大学でウイルス学を専攻したからです。ウイルス学者たちと話をすると、重症例の多くは、いったん治り、それから咳が出て、突然、重症化するというパターンがあるようです。ウイルス学の恩師の先生に「先生はワクチンをやりますか?」とたずねると、「私はワクチンを自分にうちません。いまのうちにかかって、免疫をつけたほうが良いから」という答えでした。ワクチンやタミフルも、どこまで効くのか、わからない部分があります。このような新型インフルエンザの流行が予測される状況で、参考になる事例があります。2002年のSARS(急性重篤呼吸器症候群)の流行です。当時、8069人が感染して、775人が死亡しました。当時の中国では、漢方によってSARSの治療にあたりました。漢方では、傷寒論の六経弁証や温病学の衛気営血弁証など、外感熱病弁証つまり、発熱病の分析方法があります。その結果、SARS流行時の中国では、西洋医学の病院では死者が出ましたが、中医学院では死者が出ませんでした。
また、1918年にはじまった「スペイン風邪」というインフルエンザの大流行期も、日本では漢方医たちが、漢方でインフルエンザを治療し、貴重な経験を残しています。浅田宗伯は柴葛解肌湯や葛根湯、小柴胡湯加桔梗石膏を用いていますし、森道伯は脳症型に升麻葛根湯、呼吸器型に小青竜湯、胃腸型に香蘇散を用いています。スペイン風邪の際に、日本はヨーロッパに比較して、死者数が少なかったのは漢方のためだという研究者もいます。
私がお勧めするのは、「ショウキT―1」です。「ショウキT―1」は、もともとC型肝炎ウイルスやインフルエンザなどへの抗ウイルス作用を研究するうちにできたものです。面白いのは抗ウイルス作用があるものは脳に作用することです。リレンザは元々はパーキンソン病の薬ですし、タミフルの原料のウイキョウも中医学では子供のテンカンや多動症に使います。
麻黄もエフェドリンで脳に作用しますね。鳥インフルエンザに対しても、「ショウキT―1」は100倍希釈液で抗ウイルス作用が実験で証明されています。2008年の天津中医薬大学で実験したところ、高熱の患者を、漢方投与群とショウキT―1投与群を比較したところ、漢方投与群は治癒までの日数が10日間に対して、ショウキT―1投与群は7日間と短縮しました。このように、ショウキT―1は、ウイルスによる発熱疾患に効果があります。新型インフルエンザを予防・治療するためにもショウキT―1と漢方を併用することをお勧めします。
第2部 「妊娠高血圧症候群について」
産婦人科医 枡田充彦先生
産科医が妊婦さんをどう見ているかをお話させていただきます。いま大阪の阿倍野区では分娩できる施設が3件ですが、お隣の東住吉区はゼロになっています。実は、大阪市内でも分娩施設がない区が3つあります。産科医は訴訟が多く、長時間労働です。わたしは医者になって16年で8,000例以上の出産を扱ってきました。また、産婦人科学会でガイドライン作製に携わりました。産婦人科学会では専門医を認定していますが、臨床経験5年以上で、学会の研修に参加したものを専門医と認定しています。わたしは専門医のほかに母体保護法指定医の資格も取得しています。母体保護法指定医は、人工妊娠中絶や不妊手術ができます。
まず、妊娠週数の決定法についてお話します。最終月経の初日を〇週〇日とします。そこから計算して40週と〇日が、出産予定日となります。そして、8週目に超音波エコーで赤ちゃんの身長(CRL)を計ります。それで正確な予定日を調整します。予定日がないと、例えば、里帰り出産で、9ヶ月ぐらいで、こられた際に、赤ちゃんが発育不良なのか、そうでないのか、判断できない場合があり、困ります。
妊婦さんへの予防接種ですが、生ワクチンは全て禁忌です。不活化ワクチンであるインフルエンザワクチンはうてます。リレンザ、タミフルもOKです。また、麻黄湯はよく効きます。妊婦さんの発熱や関節痛に対して、ボルタレンやロキソニンをタミフルと併用するのは危ないです。私は解熱剤を使うなら、アセトアミノフェンを使います。
まず、①妊娠悪阻、つわりです。対策は少量、頻回にわけて食べることです。水分摂取します。生姜粉末は妊娠悪阻には効果があります。漢方では小半夏加茯苓湯です。悪阻で水分がとれないと、体重減少し、怖いのはビタミンB1不足からのウェルニッケ脳症です。だから、点滴でビタミンBを足します。ビタミンBは水溶性なので過剰摂取はありません。
②早期流産です。妊娠12週未満の流産を早期流産といい、12週以降を後期流産と言います。違いは、後期流産は死産証明書が必要なことです。後期流産の頻度は高くないです。これはよく言われるのですが、早期流産には80パーセント以上、赤ちゃんの側に原因があります。お母さんのせいではありません。また、起こると止めようが無いです。流産した場合は、掻爬(そうは)と待機療法の二種類が治療法としてあります。亡くなった赤ちゃんはお母さんの身体にとって異物なので、何もしなくても自然に出てきます。ただ、2ヶ月ぐらいかかることもあり、その間、出血も続きます。外科的処置として掻爬は、人工中絶と同じやり方です。ただ、外科的処置ですので、一定の確率で穿孔や取り残しなどの失敗があります。子宮の中を掻爬するので、細かい傷がついて、子宮内膜の修復に3ヶ月ほどかかります。その間は着床しても流産しやすくなるので避妊する必要があります。
③子宮頚管無力症です。子宮頚部は閉じているのが普通ですが、この病気では、18週から20週の妊娠中期に、突然出血して、子宮を見ると、子宮頚部が開き、赤ちゃんが見えて、流産しかけているというものです。赤ちゃんの入った子宮をそーっと元に戻し、子宮頚部をテープでしばります。シロッカー法とマクドナルド法という2つの方法があります。子宮頚管無力症の診断は非常に難しいです。一つは病歴で流産・死産の既往歴があること、もう一つは子宮卵管造影をした際に、子宮の中に造影剤を入れるためのヒスキャスという器具がスポンと抜けることです。
④切迫早産です。お産というのはどこでも出来ます。しかし、切迫早産の場合、NICU(新生児集中治療室)が必要になります。22週の赤ちゃんは350グラムです。手のひらに乗るサイズです。私は750グラムの早産の赤ちゃんをNICUで管理した経験があります。気管内挿管で呼吸を確保し、強心剤や栄養剤の点滴ラインを確保し、保育器で24時間管理します。ちょっと目を離したら、心臓が止まっている場合もあるので、入院してから72時間保育器のそばを離れることが出来ませんでした。22週で生まれた赤ちゃんは40週になるまで、この保育器を出ることができません。そのため、他の早産の赤ちゃんがNICUに入院できないという問題が出てきています。特に、不妊治療をした場合、双子や三つ子が多くなります。これらの双生児が早産になったら、NICUのベッドがいっぺんに2つ埋まるわけです。そのため、不妊治療で入れる受精卵は一つまでに規制しようという動きも学会であります。
⑤前置胎盤です。皇族の紀子さまが前置胎盤のために帝王切開手術を受けられました。完全な前置胎盤はめったに無いため、自然に胎盤の位置が上がっていくこともあります。出産の際に、妊婦の出血性ショックや胎児死亡もあるため、帝王切開手術が行われます。
⑥常位胎盤早期剥離です。これは5年ぐらい前の統計でも、母体死亡原因の一位です。原因不明で妊娠中に胎盤がはがれます。そうすると、母子ともに危険な状態となります。胎盤というのは赤ちゃんに酸素を供給していますから、赤ちゃんは酸素をもらえなくなります。胎盤が50パーセントめくれてしまうと、まず赤ちゃんは死亡となります。母体にもDIC(播種性血管内凝固症候群)といって、出血傾向が出てきます。胎児成分が母体内に入ることが原因と言われて、出血が止まらなくなります。出血が止まらないため、輸血を大量に行い、さらに子宮を摘出する場合があります。私もこの7月から8月で2例経験しました。分娩監視時に突然、赤ちゃんの心拍数が落ちて、戻らなくなり、妊婦さんのお腹をさわったら、板みたいにカチカチでした。急いでエコーで子宮を見ると、胎盤のまわりで出血しているのがわかりました。急いで帝王切開手術を行い、母子ともに幸い無事でした。わたしは首から、このポケットベルをぶらさげていますが、こういう緊急手術があるため、手放せません。
⑦妊娠高血圧症候群です。「妊娠中毒症」と以前、言われていた病気は、「妊娠高血圧症候群」と名前が変わりました。以前の「妊娠中毒症」という病名の時代は、「浮腫、高血圧、たんぱく尿」という症状でしたが、正常な患者さんでも浮腫はあるため、症状からはずしました。また、昔は、何らかの原因物質があって、原因物質に中毒して起こると考えていましたが、そのような原因物質が無いという考え方に変わったため、「妊娠中毒症」という病名が変わりました。現在では血管内皮障害が原因ではないかといわれています。血液凝固因子が減るため、血管内皮障害が起こり、DICも起こりやすくなります。
「妊娠高血圧症候群」を放置すると、「子癇」という極めて危険な状態が起こります。妊婦が高血圧とともに、ケイレンや意識消失を起こす状態でしたが、わたしは「子癇」を診たことがありません。現代日本では管理状態が良いので、そこまで放置することがないためです。「子癇」となると妊婦の死亡率も高く、早期胎盤剥離も起こりやすくなり、非常に危険な状態となります。そのため、30週から32週の妊婦は、NICUのある施設に送り、36週以降の妊婦なら陣痛促進剤を用いたり、帝王切開を行います。出産すると血圧は下がりますが、半年ぐらいたんぱく尿が続きます。わたしはかつて、「妊娠高血圧症候群」にマグネシウムが内服薬としてとして使えないかを研究しました。現在もマグネシウムの静注はされていますが、内服でいけるなら患者さんは入院しなくても良いので、産婦人科学会でも、いつも研究の話題になっています。こういった産婦人科の知識がみなさんのお役に立てれば幸いです。
第3部 希望をもって楽しく継続する
薬局ジョイン 薬剤師 尾崎佳雅先生
愛知県蒲郡市で相談薬局を営んでおります。まず、店内の写真を紹介します。皆さんのお店もスタイルやコンセプトもいろいろだと思います。インストアもあれば、漢方専門の薬局もあるかと思います。大切なのは、消費者の立場にたつことですが、これは本当に難しいです。実際に、お薬屋さんに行くことをイメージしてみてください。評判の良いお薬屋さんのイメージ、外観、店主、店員さんをイメージしましょう。一歩足を踏み入れた際のBGMや店内の照明の明るさ、店員さんの声や表情などです。これらを具体的に考えるために、マインドマップ(注:イギリス人トニー・プザンが開発したブレインストーミング技法)という思考を地図のように書き出す方法があります。例えば「集客」というキーワードを用紙の中心に書いて、その周りに、思いつく言葉を次々と書いて展開していきます。「看板」「チラシ」「口コミ」などです。また、「看板」という言葉から、また、思いつく言葉を書いていきます。このように、具体的にしていきます。いつも具体的に考えている人は、どんどん書き込んでいけますが、具体的に考えていない人はあまりかけません。行動を起こすためには、考えていることを具体的にすることが重要です。お客様に、お店がどのように思われているか、あるいは自分は「こんなお店です」と外に向けて出せているか、どうかです。また、信頼というのは大切です。私は紅参を用いていますが、九州の同じ紅参を使っている先生のほうが効きが良いと感じたことがあります。わたしとの違いは、お客様との信頼関係でした。信頼して飲むクスリは同じものでも効果が変わってきます。また、お客さんが、また、あそこのお店に行きたいなと感じるお店でありたいと思います。お客様との会話でよく反省することがあります。お客様は自分の話を聞いてほしいのに、なぜこの商品をおすすめするのかとか、気が着くと会話の8割は私が話していることがあります。専門用語を使ったりしてしまうこともあります。その解決策として小道具を考えてみました。視覚で訴える小道具です。「健康の木」や「氷山の一角」という絵の小道具をつくりました。お客様も自分の体の状態がイメージできると、興味を持っていただけます。そのように、楽しく接客する工夫をしています。お客さんも同じで、継続することが楽しくなると成功の確率があがります。「妊娠すること」を目標にするとつらくなることがあり、「妊娠しやすいからだづくり」をまずお勧めします。「あんまり変化ないんだけど」とお客さんが言うときも、一番改善したいところが変わっていなくてもよくよく聞いてみると、変わっている部分があります。その場合、大げさでも共に喜んで前進していることを伝えます。ストレスと不妊は視床下部―脳下垂体ーホルモン系統でつながっています。相談を主軸にして、ストレスを軽減することで、妊娠もしやすくなります。お客さんに、少しでも楽になっていただきたい、楽しんでいただきたい、健康の輪がつながるという意味で、薬局ジョインという店の名前にしました。皆様の参考になれば、幸いです。
第4部 子宝相談における温灸の活用法
徳潤学術部長 野崎利晃
「邵氏温灸器について説明させていただきます。温灸に使われているのは、ヨモギです。このヨモギの繊維をレーザーで炭化させたものを使っています。実際の棒灸を会場でまわしますが、匂いが全く違います。店頭で、利用しやすいのは、首を前に曲げて、一番目立つ第七頚椎にある「大椎(だいつい)」」というツボです。ここに温灸しながら、相談をします。実際に、「大椎」をこすってみてください。冷えている人がいます。このような手当ての要素を入れることが重要です。また、突発性難聴の場合でも、耳の温灸はよく効きます。子宝相談において、もっともお勧めのツボは妊娠三穴つまり神闕・関元・気衝という3つのツボです。西洋医学的には1日1回温灸することで鼡径リンパや卵巣を温めます。東洋医学的には気衝は胃経で脾胃から後天の精を増やします」
葛西先生「質問ですが、なぜ先天の精である腎ではなく、後天の精の脾胃から増やすのですか?」
葛西先生のご質問について、最後に邵先生から「棗参宝」説をする際に解説があったので書き加えます。
邵先生「棗参宝」の棗(なつめ)は心と脾に入り、気血をつくります。東洋医学の理論では肝は血を蔵し、脾は血をつくります。例えば当帰芍薬散は肝の治療薬ですが、年をとると肝の蔵血機能は低下します。そこで肝の替わりに、後天の精の脾胃から気血をつよくします」
第5部 子宝相談における集客と実績紹介
子宝カウンセラーの会事務局長 柳田浩二


